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閉鎖空間な保管庫
ここは「涼宮ハルヒで801スレ」のネタ保管庫非営利サイトです。 女性向け、BL、801に不快に思わない方のみ自己責任でご覧くださいませ。
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46 古キョン 
「はぁぁ…」
長い溜息が部室内に響いた。
俺は今、風邪からくる倦怠感に悩まされている。

机に伏してダラけてると、古泉が小さな包みを差し出した。
「辛そうですね。僕の持ってる喉飴で宜しければ、どうぞ」
「ん?お前も風邪か?」
「ええ。最近何かと忙しかったものですから。疲れが溜まってたのかもしれません」
コイツが『忙しい』と言うとロクな事じゃない気がするが…。まぁいい。折角だから貰っておくか。
差し出された飴を受け取り、口の中に放り込む。うん、結構ウマい。
むぐむぐと口の中で飴を転がしてると、古泉が不可解な呟きを洩らした。
「イイですね」
「…?何がだ」
「飴を頬張る貴方も中々素敵だな、と思いまして」
どういう意味だ?大体、俺にそんな言葉を言うのはお門違いだぞ、古泉。
「…イヤミか?」
「照れた姿も可愛いですね。耳が赤いですよ」
「照れとらん。呆れてるんだ。耳が赤いのは風邪の所為だ」

全く、コイツと話してるだけで熱が上がる。
ああ、部室に女性陣が居なくて良かった。特にハルヒにこんなやりとりを見られたらどうなる事か。
面白おかしく囃したてられた挙句、次の映画のネタに使われるかもしれない。
そんな恐ろしい事態はごめん被る。
鬼の居ぬ間に何とやら、早々に退散するべし。
俺は素早く席を立ち、爽やかな笑顔を作ってドアノブに手を掛けた。
「俺、そろそろ帰るわ」
「じゃあ僕も」
チッ。逃走失敗。
古泉はちゃっかり俺の隣位置をキープしてる。不本意ながら一緒に下校する破目になった。
まぁ、たまにはいいか。
…待て俺。何が悲しくて男二人きりで仲良く帰らにゃならんのだ?
妙な考えが浮かぶのは風邪で思考力が鈍ってる所為だ。…多分。

廊下を歩く俺の傍らで古泉がのほほんと呟いた。
「冷えますねぇ」
「そうか?俺は暑いけどな…」
冷える所か少し汗ばんでる位だ。なんだか息苦しい。マズい。風邪が悪化したのか?
古泉は肩でを息をする俺を心配そうに覗き込む。

「顔が真っ赤ですよ。大丈夫ですか?」
やけに顔が近いが、今はそんな事を気にしてる場合ではない。
なんだかクラクラしてきた。景色が、回る…。
「ん…。少し怠いな…」
古泉の手前、多少強がってるが、本当は少しなんてモンじゃなかった。
もし未来から来た青い猫型ロボットが実在するなら、今すぐ便利扉を出して欲しい。
「とりあえず保健室に行きましょう」
「ああ…悪い…」

古泉に支えられた俺は何とか保健室まで辿り着いた。
だが訪問者を処置する筈の養護教諭は居ない。
どうせ職員室辺りでのんびりお茶してるに違いない。チクショウ、給料泥棒なんか大嫌いだ。

古泉は恨み言を吐く俺を手際良くベッドに寝かせると、氷枕を持ってきた。
随分気の利く男だ。コイツ、意外と恋人に尽くすタイプだろうか?

取り留めなく考えてると、古泉がベッドの端に腰掛けた。安物のスプリングが軋む。
人が苦しんでる時に何故か嬉しそうな顔をしている。不謹慎な奴め。
古泉は睨む俺に構わず口を開いた。

「ねぇキョン君。身体が熱いでしょう。どうしてか判りますか?」
いきなり何を言い出すのだ、コイツは。病人の前で意味不明な言動は慎んでくれ。
「そりゃ、風邪の所為だろ…」
ありきたりな俺の答に古泉は低く喉を鳴らして笑った。

「いいえ。貴方のその症状は、僕が渡した飴の所為ですよ。気付きませんでしたか?」

何だって?あの飴に毒でも仕込んだってのか?
しかし、仮に俺をどうこうした所でコイツに何のメリットが有るんだろうか。
嫌がらせか?それとも、機関絡みの新種の薬物実験か?後者なら確実に犯罪だぞ、古泉。

古泉は呆然と固まる俺に焦れたのか、軽く眉根を寄せた。
行儀良く結ばれたネクタイを乱暴に外し、俺の体に覆い被さってくる。

「!?…何のつもりだ…?」
流石に危機感を覚えて身構える。古泉は警戒する俺を無表情で見下ろしていた。
なまじ整った顔立ちなだけに、表情を失くした美貌は氷のように冷たく感じられた。
「まだ解らないんですか?それとも、解らないフリをしてるだけ?まぁ…どちらでも構いませんけどね」


突然強引に口付けられ、ねっとりと口腔を貪られた。
俺は古泉の体を押し返そうと必死で藻掻いたが、奴の体はビクともしない。
肌をなぞられ、痺れるような感覚が全身を駆け巡る。思わず声を上擦らせた。
「うッ…。あぁぁ…!」
アツい。体が燃える。熱くて気が狂いそうだ。

ー媚薬。
気付いた時には手遅れだった。抗えば抗う程カラダが熱く猛っていく。

「あぁ、ようやく効き目が現れましたね…。可愛いですよ、キョン君」
身悶える俺をうっとりと見下ろした古泉は、ネクタイで俺の手をベッドの支柱に縛りつけた。
抵抗しようと体を捩ったが、濃厚なキスで遮られる。唇の端から唾液が零れてシーツに染みを作った。
ヤバイ。腰にキてる…。そう自覚した直後、古泉の白い手が腰に触れた。
制服の上から膨らんだ股間を執拗に撫でられ、甘ったるい声が洩れる。

「あぁぁッ…!!やめ…ッ」
「やめて良いんですか?今やめてもツライだけなのに…」
伸し掛かられ、耳を舐められた。体が跳ねる。
カラダ中が感覚器になったように、何処を弄られても感じてしまう。

「こいずみ…な、んで…」
悲しみや憤りではなく生理的な涙が込み上がってきた。
古泉は目尻を濡らす俺を潤んだ眼差しで見下ろしている。
「何故…?欲しいから奪う、それだけの事です」
吐息混じりの濡れた囁きと共に、硬くなった雄を何度も擦り付けてきた。

好きだから欲しい?古泉が、俺を?何故?
その疑問は快感に掻き消された。
そこかしこに降るキスが疼く身体を容赦なく追い詰めていく。昂ぶりを抑えられない。


俺の脚の間に体を滑り込ませた古泉は腰のチャックを咥え、下着から俺自身を取り出した。
露出した雄は淫らに先走りの蜜を垂らしている。
「…いい眺めですね…」
愉悦に満ちた視線に犯され、羞恥に身を捩る。隠そうにも両腕は拘束されて動かない。
足を閉じようとしたが、腿に手を掛けられて強引に割り裂かれた。
古泉は先走りで濡れる俺自身に白く細長い指を絡み付かせ、ゆるやかに扱いた。

「やめッ…!」
「やめませんよ。これから楽しくなるんですから。ホラ、貴方だって欲しがってるじゃありませんか」
扱かれた俺は天を向いて濡れそぼり、しっかりと自己主張していた。恥ずかしさのあまり死にたくなる。

「お前が…!こんな事するから!」
「そう。貴方は何も悪くない。僕が壊れただけです…」

古泉の表情が苦痛に歪んでいた。
その悲哀に満ちた眼を見た瞬間、抗う気力が薄れてしまった。
こんなに酷い目に遭わされてるのに。

古泉が屹立した俺の雄を口に含む。狭い口腔がねっとりと絡み付き、その熱さで狂わされる。
噛み締める唇の隙間から喘ぎが洩れる。早く、イかせて欲しい。
「古泉…こいずみ…、もうッ…!」
「………」
掌と口の両方で責められ、無意識に腰が揺れた。
ぎちゅぎちゅと濡れた音と、貪欲にねだるはしたない淫声が響く。
尖端を強く吸われ昇り詰めた。古泉は俺が放った液を躊躇いなく飲み干し、舌なめずりしている。
「…ごちそうさまでした…」
銀の糸が俺と古泉の唇を繋ぐ。その卑猥な光景に眩暈がした。

やさしく頬を撫でる古泉の手が涙に霞む。
快楽を与えられ、このまま狂わされていくのだろうか。背徳感に身体が震えた。
ギリギリの所で保っている自我が脆くも崩れ去ろうとしていた。


古泉は額に軽くキスをすると、俺の雄から滴る精液を蕾に塗り込めた。
「あ、ぁッ…!」
ゆっくりと指が回し挿れられ、肉襞を掻き回した。柔らかく解れると徐々に指の数が増えていく。
「そろそろ…いいですか…?」
いつの間に準備したのか硬く猛った己を取り出し、俺の蕾に擦り付ける。
「…ッ!やめ…」
そんなに大きな楔で貫かれたらどうなってしまうのだろう。
怯える俺の肌にキスを繰り返し、大丈夫だと宥めすかす。
小さく頷いて、瞼を閉じた。
「…ッ…!ぅ…ぁあッ…!!」
慣らされていたお陰で思ったより痛みは少なかった。
けれど、指とは比べものにならない圧迫感に息が詰まる。徐々に侵入する熱い楔により深い場所を穿たれる。
「あ…ぅッ!!く…ッ…」
強い快感に意識が遠のいた。
「…ッ…狭いな…」
古泉の端正な顔が苦痛に歪む。汗ばんだ額に髪が張り付いていた。
この男を咥え込んでいるのかと思うと興奮して身体に力が入った。


「こ、いず…み…」
「名前で読んで下さい…。そしたら、ご褒美をあげますから」

乞われて、羞恥もプライドも捨て、震える声で哀願した。
「い、つ…き…」
途端に、カラダの中の古泉が一層硬く大きくなった。
激しく穿たれ、擦り切れそうな意識の中で古泉の背中に必死で縋りついた。
「ぁぁああッ!!」
達した弾みで力が入り、肉壁で締めつけると古泉が低い呻きを漏らした。
「……ッ…!」
蕾の最奥に熱い滾りが注がれる。

荒い吐息を繰り返し、快楽の余韻をやり過ごす。
俺はしばらく放心状態で古泉の重みを受け止めていた。
古泉は虚ろな視線を彷徨わせる俺を強く抱き締め、耳元で甘く囁いた。
「好きです」

順番逆だろ、と突っ込む気力は既に無かった。

俺は古泉に身を任せて、されるがままにしていた。
古泉は俺の頸を舐めたり甘噛みしたりしてる。
鼻先をくすぐる古泉の匂いに酔いしれる。髪が肩に掛かって、くすぐったい。

何やってるんだろう、俺。男に抱かれるなんて。しかもそれを心地良いと思うなんて。
古泉に揺さぶられて、頭のネジが2・3本くらい外れたんだろうか。


淫らな行為と真摯な眼差しのギャップが大きすぎて混乱する。
コイツの何処までが真実で、何処までが嘘なのか判らない。


だけど、俺を求める古泉の眼を見た瞬間に思ったのだ。
もし本気で拒んだら、古泉は俺の前から姿を消すのではないかと。
そして、二度と会えない処へ行ってしまう気がした。

それだけは嫌だった。

古泉の居ない部室を想像して、そこでぽつんと座ってる自分を想像して、喪失感に打ちのめされた、なんて。
認めたくないが、紛れも無い事実だった。

快楽に流されてしまえば、抵抗しない理由になると思った。
もしかしたら、古泉より俺の方がずっと腹黒いのかもしれない。


荒い呼吸を繰り返す古泉の頬に手を当てる。偽りの仮面を外した熱を帯びた素顔が有る。
抱き続けた猜疑心は、交わりの熱で溶け出していた。
何が本当で嘘なのかなんて、考える意味など無いのだろう。


全てが嘘でも構わない。お前の素顔ががケダモノでも、悪魔でも。
お前を繋ぎ留めておけるなら、カラダだって魂だって捧げてやる。
それが俺の希みなのだから。

「…責任とれよ」
俺がくぐもった声で呟くと、古泉はこの上なく幸せそうに微笑んだ。

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