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閉鎖空間な保管庫
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40 多分古キョン
答えはわかっている。
 よって問いかける意味はない。しかし問わずにいられないのは、違う答えを期待するからだろうか。
 意を決しあのさと声をかけると、古泉はにこにこと言葉を促してきた。
 この笑顔が憎い!
「昼休み中に、俺の弁当の箸がなくなってたんだが……知らないか」
 知らないと言ってくれ。
 その意に反し――いや、その決死な思いがかなった言葉が返ってきた。
「知りませんねぇ」
「……そうなのか?」
「えぇ」
 にこりと返される笑顔に、反対に拍子抜けする。いや喜ばしいことなのだが。
「悪かった……少し疑っていた」
「そうなんですか? ひどいですね」
 一瞬笑みが深くなり、
「僕があなたの箸を盗んだなら、まずあなたがよく持っているだろう位置を指紋で確かめ
てみて僕も同じように持ちあなたと手を合わせている感覚に悦に浸りながら、箸の先に優し
く口付けして――まぁ僕の優しさはあなたが腰砕けになる程度のものですが、そしてそのあ
とばれないようにこっそり返して何も知らないあなたが無防備に箸を使う姿を影からねっと
りと見つめますよ」

「……泣いていいか、俺」
 血涙ぐらい軽く出てきそうだ。
「まぁ、盗んだのは僕なんですが」
「は?」
「すみません、ちょっといたずらしてみたくなりまして。お返ししますね」
 差し出してきたのは、プラスチック製の箸。綺麗にそろえられたそれは、確かに俺のものだ。
 受け取れというのかこれを。奴が口にしたオンパレードを実行されているだろう箸を!
 心底楽しそうな古泉の笑顔が歪む。……あぁ、本気で涙が出てきたようだ。乾いた笑いが止
まらなかった。
 何で俺はこんな奴のことが好きなんだチクショウ!

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