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閉鎖空間な保管庫
ここは「涼宮ハルヒで801スレ」のネタ保管庫非営利サイトです。 女性向け、BL、801に不快に思わない方のみ自己責任でご覧くださいませ。
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一体全体どうしてこんなことになってしまったのか、
神というふざけたヤツがいるならいますぐ張り倒して問い詰めたい。寧ろ全力で謝りたい。
清く正しく生きてきた俺にこんな非道い仕打ちをするほど神とかいう職業は暇なのだろうか。
今すぐ転職をオススメしたいが、未来人、宇宙人、超能力者などのように
目に見える存在ではなく、ぶっちゃけ居るかどうかも怪しい存在に
そんなことをオススメできるような非人間的な力は残念ながら持ち合わせていない。
ああ、お願いだから俺まで一般人という素晴らしく平凡なカテゴリーから除外しないでくれ。
マジで、頼むから。

ジョン・スミスの憂鬱

“バケツをひっくり返したような”とはよく言ったもので、滝のように窓を流れていく雨が
激しい音を立てて校庭の泥をさながら洗濯機のように勢い良く洗いまくっている
春も過ぎた五月の陰鬱な空気が取り巻く蒸し暑いある日、事件は起こった。
いや、例の如く事件をハルヒが掘り起こしたというか叩き起こしたというか、とにかくそんなようなものだ。
ずっと起きずにそのまま不発弾のように眠っていてくれればいいものを・・・
自己主張激しいヤツだな、事件というヤツは。迷惑極まりない。
きっかけは教室の片隅に放置されていた一冊の漫画本だった。
何の変哲もない一般書店で売られている少女マンガに見えるそれを、
ハルヒが手に取り読み始めたのが昼休みに入ったばかりの頃だ。
俺はこの後自分があんなおぞましい事件に巻き込まれるなどと予想することもなく、
ごく普通にいつものメンバーで飯を食っていた。
途中、奪われたハンバーグの恨みを晴らすかのように国木田の弁当から卵焼きを奪い取りながら。


キョン、古泉君にキスしなさい!」
俺は持っていた鞄を盛大に床へ叩きつけたかった。いや、実際俺の手からすり抜けた取っ手は
そのまま筆記具やら何やらの重みで床へと落下し、軽い音を立てて床に落ちたが。
まさにドラマなどで見る“ショックなことを聞くとパンや買い物袋や花束が落ちる現象”を体感してしまった。
事実ショックなことを聴くと手の力が少なからず抜けるようだ。いや、そんなことはどうでもいい。
俺は今すぐに速攻でハルヒの思いつきを止めなければならないんだからな。
「はぁ!?何故俺がそんなことをしなければならないんだ!」
「いいからしなさい!団長命令よ!」
「そんなことを言われても聞けるわけがないだろうが!ワケを言えワケを!」
聴く耳持たないのは俺もハルヒも一緒のようで、このままでは押し問答を続けるだけだろうと判断したが、
如何せん内容が内容だ。大人しく聞いてやるわけにもいかない。
「キョン君、あれ・・・」
麗しの朝比奈さんが指差したのはカラフルな装丁の少女マンガだった。
ただ普通の少女マンガと異なるのは、表紙に描かれている人間が華やか煌びやかな
女子高生ではなく、見渡す限りオールスター学ラン男子感謝祭状態であることだろう。
あまつさえその表紙の人間は古泉のように爽やか堅実嘘臭いの三拍子揃った笑顔を浮かべている。
まさか、それは・・・
「学校には一組や二組くらいボーイズラブな男子がいたっていいじゃない!」
やはりそれは、俺達にとっては限りなく遠い世界の出来事を女子の豊かな妄想力・・・いや、想像力で
好き勝手描きまくった近未来的恋愛風景のマンガのようだ。
何故こんなものがハルヒの手の中に落ちてしまったのだろうか。他のヤツなら害はなかったというのに
因果というものはこんなにも恐ろしいものだったのだろうか・・・
ハルヒがそれを手にしてしまったからには目の前で犠牲になるのは100%俺と、あとオマケ程度に古泉。
確実に俺、そして究極に俺が巻き込まれるのだろう。勘弁してくれ。

「古泉君でもいいわ!キョンにキスしなさい!これは団長命令よ!」
そんな太陽でさえも裸足で逃げ出すような期待で光り輝く笑顔で微笑まないでくれ。
俺は眩しいどころか意識が遠のいていくような錯覚を感じてきた。ああ、世界が回る、回っている。
「・・・これは、覚悟を決めた方がいいですね」
いつもの胡散臭い笑みではなく、困惑したような微笑んでいるような曖昧な笑みを浮かべた古泉が
俺の耳に小声でぼそりと吐息混じりに呟いた。どうしてこうこいつは必要以上に顔を近づけなければ話ができないのだろうか。
もう少し距離をとって話してくれても聞き逃したり撃ち殺したりしないんだがな。
「・・・なんだ古泉、いつもながらに顔が近いんだよ・・・いいから離れろ」
「涼宮さんの意識下で異空間が形成され始めています。これは覚悟を決めなければいけませんよ」
真顔でわけのわからないことをのたまう古泉に軽く眩暈を覚えながら俺は開き直ったように言葉を紡ぐ。
「・・・なんだ、お前とこの陰鬱な空気の中でディープキスを交わせば
この気まぐれな団長様のご機嫌は上昇するってことか?俺は確実に御免だがな」
「いえ、そうではありません。気付いていますか?この部屋の空気がぐるぐると渦を巻いていることに。
もう既に異空間が形成され始めてています。ということは・・・」
古泉は少し間を開けて、やがてゆっくりと口を開いた。俺はその口から予想だにしない
衝撃的事実が漏れ出すことを想定していなかった。できれば嘘であって欲しいと強く願いまくりたい程の予言を。
「涼宮さんが読んだマンガの通りにしなければ、僕達はそのまま同性愛者に改変されてしまうということです」


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2008/05/11(日) 18:20:28 | | #[ 編集]
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